top of page

ジュヌヴィエーヴ・ド・ブラバン Geneviève de Brabant

 

影絵の作品としての上演を意図して作曲されたものの生前には上演されることはなく、サティの没後アパートのピアノの裏から見つかったとされています。亡くなった翌年に親しい仲間によって人形劇で上演されました。

本来のヨーロッパに伝わる物語「ジュヌヴィエーヴ・ド・ブラバン」はこのようなお話です。王家ブラバン家からシフロワ公の元に嫁いだジュヌヴィエーヴは夫シフロワ公の遠征中に家臣ゴロの裏切りにあい、森に迫害され、生まれてきた子どもに雌鹿の乳を与えて生き延びます。ゴロの嘘を鵜呑みにしたシフロワ公は遠征を終え、数年が過ぎたある日、森に狩りに出かけます。道に迷ったシフロワ公は雌鹿に導かれ、処刑されたはずの妻ジュヌイエーヴと再会し、ゴロの嘘を知ることになります。ゴロは極刑に処され、ジュヌイエーヴは子とともに城に帰ることが叶いますが、森の中で口にしていた草しか口にすることができず、天に召されてゆきました。

サティの没後楽譜は見つかったものの、台本は発見されず、初演ではシャ・ノアール時代にコンビを組み数曲を残しているコンタミーヌ・ド・ラトゥールが台本を執筆し、全くのパロディーとして上演されました。その台本も行方不明になったために楽譜はこれまで伝えられていた物語のテキストを添えて出版されました。しかし、近年になりオリジナルのピアノ譜とともに台本も見つかり、1989年に楽譜とともに台本が出版されました。

 

3つのストーリーに翻弄されたこの劇作品。今回はサティが意図したであろうとされる楽譜に書かれた台本を元にして演奏会形式でお送りしました。日本では2010年6月に柴野さつき女史によって初演され、本公演にあたり参考にさせていただきました。

Cond. 指揮 久保田洋 Hiroshi Kubota

武蔵野音楽大学器楽部卒業。在学中よりミクロコスモス室内合奏団を結成し、指揮者として活動をはじめる。長谷川朝雄氏、小林研一郎氏に師事。宮城フィル(仙台フィル)の副指揮者となり、新日本フィル、名古屋フィル、広島交響楽団、東京フィル、O.E金沢などのオーケストラを指揮。「オテロ」「蝶々夫人」「ラ・ボエーム」をはじめモーツァルト、ビゼー、メノティ、マスカーニなどオペラも多く手がける。海外ではグアムの日米第九、ファミリーコンサート、プラハのジャパン・ウィーク、台湾での日華友好演奏会、台湾各地での首都オペラ公演、ハノイでヴェトナム国立オペラ・バレーのオーケストラを指揮し、中国演奏旅行にも同行する。ホーチミン市交響楽団の定期演奏会を指揮。また、ドイツ・レーゲンスブルクのレナー・アンサンブル、イギリス・レスタシャーの音楽チーム、台湾の花友会合唱団の来日公演でも共演。多くのアマチュアオーケストラ、合唱団、アンサンブルなどの指導指揮の他に、モーツァルトシリーズや「東欧の調べ」などのコンサートのプロデュースを展開している。

Geneviève ジュヌイエーヴ  ソプラノ 中村初惠 Hatsue Nakamura

東京音楽大学声楽科卒業。ロシア国立マリインスキー劇場専属研修生のオーディションに合格し、同劇場にて研鑽を積む。国際オペラコンクールにて多数受賞し、サンクトペテルブルク市芸術財団より”我が街の音楽家”授与される。国内では、2010年東京文化会館にてデビューリサイタル開催。同時に1st.アルバム「歌-祈り」をリリース。コンサートやオペラの出演のほか、銀座王子ホールでのオペラ等、日本初演の音楽を中心に舞台をプロデュースする。映画の収録、音楽誌の掲載や執筆も多数。現在「ロシア文化フェスティバル in JAPAN」(ロシア外務省等主催)のアンバサダーを務める。また、チャレンジキッズ(障がいを持つ子ども達)の音楽療育の研究を重ね、講師を務めている。東京室内歌劇場会員。

Golo ゴロ

バリトン 古澤利人 Rihito Furusawa

東京芸術大学声楽科卒業。P.M.Ferraroオペラマスタークラス’01、二期会オペラ研修所マスタークラス修了。文化庁人材育成オペラ「魔笛」パパゲーノ役、二期会ニューウェーブオペラ「ウリッセの帰還」時役、東宝ミュージカル「レミゼラブル」司教役の他、数多くの舞台に出演。二期会会員。東京シティオペラ協会理事。劇団青年座研究所講師。第九ミリオーネンプロジェクト代表。

 

Orchestre de Chat Noir シャ・ノワール合奏団 & Chœur de Chat Noir シャ・ノワール合唱団

 

サティがピアニスとして生計を立てたと言われているパリのキャバレー“Chat Noir”にちなんで、本公演のために結成。さまざまなオーケストラ、合唱団で活動する先鋭アマチュア音楽家がマエストロ久保田洋の呼びかけにより集結。弦楽は「みなと弦楽合奏団」の協力により構成。

bottom of page